エンジニアが社内ツールを広めるために頑張った話
はじめに
社内のDX化や新しいツールを導入する時、想像以上に難航したオフライン経験のある人は少ないくないと思います。私自身も株式会社サイバーエージェントに勤めていた時に同じ経験をしましたが、その時に良い対策を見つけることができ、それは今も有効な手段として非常に役になっています。
フォーカスする問題点
問題や原因はそれぞれかと思いますが今回のケースとして、私は社内の一部業務の品質と効率の改善を図るために新しい業務ツールを開発しました。上司からの指示ではなくボトムアップの提案でした。新しいツールを社内に広める時にあたり以下の問題にぶつかりました。
- 社内で新しいツールを使ってくれない
なぜなのか?理由を調査・分析してみました。
- 常に忙しいので慣れてるツールから不慣れなツールに変更するときの学習コストをとらない、とれない
- 新しいツールが成果に繋がるのか不明
- ワークフローが変わるのに抵抗がある
便利なので使ってください では人はうごかせませんでした。
有効な2つの方法
試行錯誤していくなかで、社内に広めるための有効な手段を見つけることができました。
- 成果に繋がることを証明する
- 味方を増やす
上記の方法を続ける事で新しく開発した社内ツールを使ってもらうことができました。
成果に繋がることを証明するには
誰もツールに興味がない状況でどうしたら良いかを考えた時、そのツールで成果につながる事を証明する必要がありました。
エンジニアとして入社した自分にとって、マーケティング業務を行うことに対してとても抵抗を覚えましたが、そんなことを言っている場合ではありませんでした。自分で自分が開発したツールを使用して業務を実際に行う事を決意しました。
業務に詳しいく強い人から手法やポイント、ボトルネックなどを聞き、ツールの改善点や新しいアイデアが出たらすぐ実装してどんどんアップデートを繰り返す。そんなことを行っていくと段々と成果に繋がるようになりました。
実際に出した成果としては
- CV数の増加 (通常ツールよりCV出しやすい)
- 品質の向上
- 工数の削減
また、出てきた成果や機能のアップデートは毎日社内で報告・アピールしていました。すると興味を持ってくれる人が増えていき、使用した人たちの成果にも繋げることに成功しました。
このアクションを取ることでよかった点は
- 業務、ビジネスロジック自体を本質的に理解することができる
- エンジニア視点からのアイデアを出すことができる
- 自分の開発している物に愛が生まれる
また、成果に繋がる事を証明するために行った行動で意識した点として
- 自分で使ってみる
- 業務での新しい案やネックなどのヒアリング
- アップデートの周知 (毎日してました)
- 成果が出たことの周知
日々、多忙な中で学習コストを取るのは非常に重い事です。ですがそのコストに見合ったリターンを証明、提供できたなら興味を持って自発的に使ってくれる人も増えます。正しくエンジニアも社内営業がとても大事だと思います。
味方を増やすには
1人で行うには限界があります。また使ってもらうために信頼関係なども必要ですし、それを1から築いていくのは大変です。そんな時は仲間を増やすと近道になりました。
プレイヤーの味方を増やす
私が開発したのは業務ツールです。アイデアやボトルネックなどを考える時に一番の情報源となるのはやはり実際に業務を行ってる人たちです。彼らは普段から感じてる不満点、改善案やTipsを豊富に持っているのでそれらを聞き出すためのヒアリングは欠かせません。
また全員から聞き込むのもよかったですし、近くで応援してくれるパートナーを1人見つける事も大事です。パートナーに使ってもらいながら意見をヒアリングしそれをすぐ反映していきます。声が大きいパートナーを見つけると社内インフルエンサーとなってさらに良いです。
ただ、大事なのは信頼関係。これがなくては新しいツールでバグなどがあったらすぐに使ってもらえなくなってしまいます。信頼関係を築くために頑張ってたこととして
- ヒヤリングは直接席を尋ねて行う (リモートなら音声会議で)
- もらったフィードバックはすぐ反映する (具体から抽象に落とし込んで、全て行うのでなく優先度を注意して)
- 質問や困ってることがあったら飛んで行って解決してあげる
- カフェや食事などの業務以外の関係性も大事にする
信頼性を築いて味方を作ると不思議のそのパートナーから他の味方が増えていき、気づいたら社内の半分以上が応援してくれる状況になりました。
ここまで築くと味方も安心感や信頼を持ってもらえるようになり、多少のバグや不具合なども目を瞑ってもらえるようになります。
権力を持った役員を味方につける
正直これが一番効果的でした。
味方が増えても全員に使ってもらうのは難しかったです。人間ですので現状のワークフローなどが変わる事をどうしても嫌う人もいます。そんな時、目的に共感してくれる役員を見つけて、抱いる現状の問題を打ち明けたらお力を借りることができました。
その役員は 新しいツールを使って業務を行うことを義務つけました。その一言で強制的に新しいツールを使う必要があったのです。使ってくれていた人は問題なかったですが、新しく使いはじめた人への不安もありましたが、いざ使ってもらうと使いやすいという意見ももらえ、馴染むまでにそこまでコストはかかりませんでした。
役員レベルで味方をつけるためには用意が必要でした。新しいツールが有効である事を伝える事が大事ですし、同じ思いを持つことが必要です。そのために意識して行っていたことは
- 普段から役員と会話をしてビジョンや課題を聞いておく
- 新しいツールで叶うことをしっかり伝える (事例があるとなおよし)
- ある程度プレイヤーの味方もいるとポジティブな印象
終わりに
社内DXの促進、新しいツールの導入は失敗することも多々あります。失敗しないためにも現状の問題点などの把握、DX後に何の利益になるのかを事前に明確にしておく事は大切です。
このブログの内容は銀の弾ではないので、それぞれのシーンでそれぞれのアプローチが必要になると思いますが、参考になれば幸いです。
余談
正直行ってることは営業と変わりません。ですが開発のできる営業です。
AIなども発展していく中で、ビジネスシーンにおいてただ開発できるだけでは生き残れ無くなってくると思います。将来的にエンジニアは開発+αのスキルが求められて来ると思いますし、実際すでに求めているところも少なくないと思います。
何よりどうしたら使ってもらえるか、良いものとは何かを考えるのは言語開発、OSS開発、どの領域でも必要なスキルかと思います。